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日本知能情報ファジィ学会
第17回 ブレイン・コンピューティング研究部会研究会
協賛:ファジィ学会北海道支部
開催案内
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■主 催:日本知能情報ファジィ学会 ブレイン・コンピューティング研究部会
■日 時:2015年3月17日(火)13:00〜17:00
■会 場:北海学園大学 山鼻キャンパス 3号館3B 教室 (3階)
■プログラム:
13:00-13:30 講演1
「入力に誘発された神経電気活動応答パターンと自発性活動パターンの関係性」
関西学院大学 理工学部 工藤 卓 氏
13:30-13:40 休憩
13:40-14:10 講演2
「トランプカード認知・想起時の脳波判別」
北海学園大学 工学部 山ノ井 髙洋 氏
14:10-14:20 休憩
14:20-15:20 講演3
「損傷脳からみる認知機能のしくみ」
北海道大学大学院 保健科学研究院
大槻 美佳 氏
15:20-15:30 休憩
15:30-16:30 講演4
「確率的神経細胞モデルの統計的大域挙動から神経情報キャリアを探る」
北海道大学大学院 医学研究科
山野辺 貴信 氏
*研究会終了後 17:30頃より懇親会を予定しております.
++++++講演概要++++++++
講演1
「入力に誘発された神経電気活動応答パターンと自発性活動パターンの関係性」
関西学院大学 理工学部 工藤 卓 氏
「実用的な神経機能補綴技術の実現のために,神経電気活動の時空間パターンを識別し,刺激に対する応答再現性・安定性を明らかにすることは重要である.外界からの入力に対する神経回路網の応答動力学特性を解析するために,小さな脳のモデルとして,生体の神経回路網に電流刺激を与え,刺激によって得られる応答パターンをもとに行動を生成するニューロ・ロボットを開発している.本研究では,生体神経回路網の活動パターンをロボットの制御に変換する手法として,常時教師なし学習を行いながら行動生成を行う自己組織化マップ(SOM)を用いた.SOMを用いて,電流刺激における誘発応答パターンの長期的な解析を行った結果,異なる入力に対し異なる応答パターンが発現され,長時間入力を繰り返しても比較的安定していることが示唆された.また,誘発応答パターンの中に自発性活動パターンに類似した活動も含まれており,自発性活動パターンは豊富なパターンレパートリーを含有し,そのレパートリーに類似した特定のパターンの1つが電流刺激によって誘発されている可能性が示唆された.
さらに,SOMによって2次元マップ空間上に写像された神経回路網の活動パターンにおける勝者ユニットの座標を元にして,ロボットの衝突回避行動を生成することに成功した.」
講演2
「トランプカード認知・想起時の脳波判別」
北海学園大学 工学部 山ノ井 髙洋 氏
「本研究では,潜時400ms以降の区間で,トランプのクラブAからKまでの判別に有効なチャネルを探り,上前頭回に対応する2 (Fp2),4 (F4),6 (C4),12 (F8)の合計4chからの脳波信号を利用した.各カードはランダムに提示した.サンプリング潜時区間と間隔は,400msから900msまでのEEGを25ms間隔でサンプリングし,84次元ベクトル空間の多変量データとした.このデータに対し,多変量統計的データ解析の一手法である正準判別分析を試みた.この結果,3名の被験者に対して13種類のトランプカードの提示・想起時のEEGに対して90%を越える判別率を得た.」
講演3
「損傷脳からみる認知機能のしくみ」
北海道大学大学院 保健科学研究院
大槻 美佳 氏
講演4
「確率的神経細胞モデルの統計的大域挙動から神経情報キャリアを探る」
北海道大学大学院 医学研究科
山野辺 貴信 氏
「神経細胞はイオンチャネルノイズ、シナプスノイズなどのノイズ源をもつ素子である。神経細胞ではシナプス入力が統合され軸索初節でスパイクに変換される。この変換過程を調べることが、神経系における情報キャリアを調べる上で必須である。しかし、確率的な挙動をする神経細胞モデルは非線形の確率微分方程式で記述されるため、その挙動を解析すること自体、困難を伴う。我々は、確率過程の漸近展開理論により、確率的神経細胞モデルの推移確率を近似し、その統計的大域挙動を解析できるようにした。スパイク列データを解析する際、畳み込み積分を用いspike densityを計算するが、その積分核としてどのような関数が適当なのか議論の分かれるところである。そこで、我々は確率的神経細胞モデルの現在の発火頻度が過去の神経活動にどのように依存するか調べた。その結果、spike densityの計算では、ガウス関数など、非負の値を持つ関数を用いられるが、現在の発火頻度に対し、過去の神経活動は負の影響も与えることを示した。さらに、現在の発火頻度の過去の神経活動への依存性はノイズ強度、入力パラメータにより変化した。これらをもとに、神経情報キャリアとしてどのようなものが考えられるのか議論する。」

